繰り上げ返済とNISA投資、どっちが得か実際に計算してみた

繰り上げ返済とNISA投資、どっちが得か実際に計算してみたのアイキャッチ
耳で読書。Audibleを無料で試す 今すぐ聴く →

こんにちは、とっぽです。

先日、貯金の残高を眺めていて、ふと「これ、繰り上げ返済に回すのと新NISAに入れるの、どっちが得なんだろう」と気になりました。住宅ローンを組んでいる人なら、一度は頭をよぎったことがあるテーマじゃないでしょうか。今回は自分の実際のローン条件をもとに、繰り上げ返済と新NISA投資を数字で比較してみます。

この記事は筆者個人の見解であり、特定の投資判断を推奨するものではありません。繰り上げ返済の利息軽減効果は確定的なものですが、投資のリターンは変動する期待値であり、性質が異なります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

頭金を決めたはずなのに、また同じ悩みが出てきた

僕は東京で建売住宅(6,290万円)を購入したときに、頭金1,000万円を入れて、借入は5,290万円・返済期間30年・変動金利0.95%でスタートしました。頭金をいくら入れるかは、実は契約時にも夫婦で意見が分かれたポイントでした。僕は投資に回す資金を確保したかったんですが、妻の「株価って下がることもあるよね」というリスク回避の意見もあり、結局は頭金を厚めにする形で決着しています。

それで話は終わったはずだったんですが、引き渡し後も貯金が少しずつ貯まってくると、また同じ悩みが顔を出します。「このお金、繰り上げ返済に回すべきか、それとも新NISAに入れて運用すべきか」という悩みです。頭金の話が形を変えて何度も出てくる感じで、正直ちょっと疲れます。

調べてみたら、意見が真っ二つだった

とりあえずネットで検索してみたんですが、「金利が低いなら繰り上げ返済は不要」「いや、借金がないほうが安心」といった意見がどちらも出てきて、余計に判断がつかなくなりました。どっちの言い分もそれっぽく聞こえるので、感覚論をいくら集めても答えは出なさそうです。なので今回は、自分の条件で実際に数字を出して考えてみることにしました。

前提を整理する:繰り上げ返済とNISA投資は、そもそも性質が違う

比較する前に、まず前提をそろえておきたいです。この2つ、似たようなお金の使い道に見えますが、実は性質がかなり違います。

繰り上げ返済は「確実に効く」

繰り上げ返済は、ローン残高を先に減らすことで、その分にかかるはずだった利息を丸ごとカットする仕組みです。返済方法には大きく2種類あって、返済期間を短くする期間短縮型と、月々の返済額を減らす返済額軽減型があります。

どちらも「これから払うはずだった利息を減らす」という効果は同じで、相場や景気に左右されません。今回の試算では期間短縮型で計算しています。

ここが投資と決定的に違うところです。繰り上げ返済の効果は、株価が下がろうが金利が動こうが変わりません。確定した効果という意味では、これほど分かりやすいお金の使い道もないと思います。

新NISA投資は「増える可能性も減る可能性もある」

一方、新NISAで投資信託やETFを買う場合は、将来のリターンが確定していません。S&P500の過去の平均リターンはよく年率7%前後と言われますが、これはあくまで長期の平均値で、毎年その通りに増えるわけではありませんし、将来も同じ水準が続く保証はありません。含み損を抱える期間が数年単位で続く可能性も普通にあります。

その代わり、新NISAは運用益が非課税という大きなメリットがあります。通常の証券口座(特定口座)では運用益に約20.315%の税金がかかりますが、新NISAならそれがまるごと非課税になります。この非課税メリットの分だけ、同じ利回りでも手元に残る金額は投資のほうが有利に働きやすい仕組みです。

住宅ローン控除を受けている期間中は、繰り上げ返済によってローン残高(控除の計算対象)が減ることで、還付額が減る場合があります。控除期間中に繰り上げ返済を検討する場合は、この点も含めて考える必要があります。

自分の条件で、実際にシミュレーションしてみた

ここからが本題です。サイト内に繰り上げ返済 vs 投資シミュレーターを用意しているので、自分の借入条件(残高5,290万円・金利0.95%・残り30年)をそのまま入力して、手元資金300万円をどちらに回すかを試算してみました。

投資の想定利回り(年率) 繰り上げ返済:利息軽減額 新NISA:30年後の税引後運用益 差額(投資-繰り上げ)
3%(保守的)953,536円4,281,787円約+332.8万円
5%953,536円9,965,827円約+901.2万円
7%(S&P500の過去平均目安)953,536円19,836,765円約+1,888.3万円

手元資金300万円を繰り上げ返済に回すと、利息軽減額は約95.4万円、返済期間は1年11ヶ月短くなります。一方、同じ300万円を新NISAで年率3〜7%で30年運用できたと仮定すると、税引後の運用益は約428万円〜約1,984万円という計算になりました。

このシミュレーターでは、損益分岐となる利回りも計算してくれます。今回の条件だと年率0.9%でした。

つまり、新NISAでの運用が年率0.9%を上回れば投資のほうが有利、下回れば繰り上げ返済のほうが有利という理屈です。ローン金利(0.95%)にほぼ近い値になるのは自然な結果で、金利が低いローンほど、この損益分岐ラインも低くなります。正直、計算式的には当たり前の結果なんですけど、実際に自分の数字で出てくると妙に納得感がありました。

このシミュレーターは、月々の返済額を残高・金利・残年数から逆算した一定額として計算しています。住宅ローン控除や繰り上げ返済の手数料は考慮していません。実際の金融機関の条件によって数字は変わるので、あくまで目安として見てください。

自分ならどう考えるか

数字だけ見ると、投資のほうが有利という結果になりました。ただ、正直に言うと、これは今の金利水準(0.95%)が低いからこそ出てくる結果です。新NISAで長期にわたって年率1%すら出せない、というのは考えにくいシナリオですが、可能性としてはゼロではありません。

それでも僕は、今のところ繰り上げ返済を急ぐつもりはありません。理由はシンプルで、変動金利0.95%という水準は歴史的に見てもかなり低く、この金利で借りられているお金を早く返してしまうより、非課税で運用できる新NISAに置いておくほうが期待値としては合理的だと考えているからです。S&P500が最高値圏でも積立を止めない理由で書いた考え方とも重なりますが、相場のタイミングを当てにいくより、長期で淡々と積み立てるほうが自分には合っています。

ただし、これは「金利が低いままなら」という前提の話です。以前金利上昇局面での資産運用の考え方を整理したときにも書きましたが、変動金利は将来上がる可能性があります。5年ルール・125%ルールがあるので急に返済額が跳ね上がることはないものの、金利が上がれば損益分岐利回りも上がっていくので、その時点で改めて繰り上げ返済のメリットを見直すつもりです。

こういう人はこっちでよさそう

ここまでの内容を踏まえて、どんな人がどちらに寄せて考えるとよさそうかを整理してみます。表にすると急に堅苦しくなりますが、要はこういうことです。あくまで一般論としての傾向で、正解はひとつではありません。

タイプ 向いていそうな選択
変動金利が低め(1%前後以下)で、投資の値動きにも耐えられる新NISA投資を優先しつつ積立を継続
ローン金利が高め(2%台以上)、または固定金利で組んでいる投資の期待値との差は縮む。損益分岐ラインが上がる分、慎重に考える価値あり
「借金があること自体がストレス」というタイプ多少利回りが落ちても繰り上げ返済で心理的な安心を優先
定年や住宅ローン完済年齢が近い返済期間を確実に縮められる繰り上げ返済も検討価値あり
住宅ローン控除の適用期間中控除への影響を確認してから繰り上げ返済のタイミングを判断

ここで誤解しないでほしいのは、「ローン金利が2〜3%あれば繰り上げ返済のほうが得」という話ではないということです。試しに金利を上げてシミュレーターで計算し直すと、損益分岐利回りはローン金利とほぼ同じ水準(金利2.5%なら年率2.4%前後)にしかなりません。S&P500の過去平均リターン(年率7%前後)と比べれば、金利2〜3%程度なら期待値としては依然として投資のほうが有利です。それでも表に入れたのは、損益分岐ラインが上がるほど「実際にそれを下回ってしまう」現実味も増えていくからです。期待値の話とリスクの話は別物として、両方を頭に入れておくのがいいと思います。

個人的には、「借金があると夜も眠れない」というタイプの人が無理に投資を優先する必要はないと思っています。期待値だけで考えれば投資が有利でも、精神的な負担が大きいなら、その分を差し引いて考えるべきです。逆に、僕みたいに「低金利のうちは借りていたほうが得」と割り切れるタイプなら、繰り上げ返済を急がずに投資を続けるという選択も十分にアリだと思います。

まとめ:自分の条件で一度計算してみるのがいちばん早い

今回は僕自身の借入条件(残高5,290万円・金利0.95%・残り30年)をもとに試算しましたが、この結果はあくまで僕のケースです。金利が違えば損益分岐利回りも変わりますし、手元資金の額や残りの返済年数によっても数字は大きく動きます。

実際に自分の条件で試算してみたい人は、繰り上げ返済 vs 投資シミュレーターにローン残高・金利・残り年数・手元資金・想定利回りを入力すれば、その場で損益分岐利回りまで計算できます。感覚で悩むより、一度自分の数字を入れてみたほうが判断が早いです。

繰り上げ返済もNISA投資も、どちらも「お金を守る・増やすための手段」という意味では同じ方向を向いています。確実に効く安心を取るか、非課税の期待値を取るか。僕はもうしばらく後者で行くつもりですが、正直、繰り上げ返済してローンを軽くしたい欲がゼロなわけでもないんですよね。金利が動けばまた考え直したいと思っています。

↓ 良ければ応援クリックお願いします!

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

関連記事

シラーPER(CAPE)とは?S&P500の割高度の見方を積立投資家目線で解説のアイキャッチ
投資戦略

シラーPER(CAPE)とは?S&P500の割高度の見方を積立投資家目線で解説

シラーPER(CAPEレシオ)の見方・使い方を、30代会社員の積立投資家目線で解説します。ふつうのPERとの違い、10年平均で割高を測る理由、2026年7月時点で約41というドットコム期に次ぐ高水準をどう受け止めるか、そして「割高だから積立をやめる」が正解とは限らない理由まで整理します。

#シラーPER #CAPE #PER #バリュエーション #米国株 #新NISA
バフェット指数とは?見方と2026年の割高度を積立投資家目線で解説のアイキャッチ
投資戦略

バフェット指数とは?見方と2026年の割高度を積立投資家目線で解説

バフェット指数(株式時価総額÷GDP)の見方・使い方を、30代会社員の積立投資家目線で解説します。計算式と目安、なぜバフェットが重視するのか、2026年7月時点で約237%という過去最高圏の割高度をどう受け止めるか、そして「割高だから積立をやめる」が正解とは限らない理由まで整理します。

#バフェット指数 #バリュエーション #割高 #センチメント #米国株 #新NISA

主要カテゴリ

固定ページ