シラーPER(CAPE)とは?S&P500の割高度の見方を積立投資家目線で解説
こんにちは、とっぽです。
米国株の割高・割安を語るときに、バフェット指数と並んでよく出てくるのが「シラーPER(CAPEレシオ)」です。ノーベル経済学賞を受けたロバート・シラー教授が広めた指標で、S&P500全体が割高かどうかを測るのに使われます。
この記事では、シラーPERがふつうのPERと何が違うのか、どう見るのか、そして2026年7月時点で約41という、あのドットコムバブル期に次ぐ高水準を、新NISAで積立をしている会社員がどう受け止めればいいのかを整理します。結論から言うと、「割高だから積立停止」とは考えていません。その理由まで正直に書きます。
シラーPER(CAPE)とは?ふつうのPERとの違い
まず、ふつうのPERから。PER(株価収益率)は「株価 ÷ 1株あたり利益」で、株価が利益の何倍まで買われているかを表します。数字が大きいほど割高、というのが基本です。
ただ、ふつうのPERには弱点があります。分母の「利益」に直近1年の利益を使うので、景気の良し悪しに振り回されやすいのです。好景気で利益が一時的にふくらむとPERは低く見え(割安に見え)、不景気で利益が落ち込むとPERは高く見えてしまう。これだと、長期の割高・割安を判断しづらい。
そこを改良したのがシラーPER(CAPE=景気循環調整後PER)です。分母に「過去10年ぶんの利益を、物価変動(インフレ)で調整して平均した値」を使います。10年ならんで平均するので、景気の一時的な波がならされて、より落ち着いた割高・割安が見えるわけです。
| ふつうのPER | シラーPER(CAPE) | |
|---|---|---|
| 分母の利益 | 直近1年ぶん | 過去10年の平均(インフレ調整後) |
| 特徴 | 景気の波に振られやすい | 波がならされ、長期の割高度を見やすい |
| 向いている用途 | 個別企業の短期の評価 | 市場全体の長期の割高・割安 |
シラーPERの目安と、2026年7月の水準
シラーPERは、S&P500の長期の平均がおよそ16〜17、直近数十年ならしても32前後とされています。この平均より高ければ割高、低ければ割安、というのが基本の見方です。
では今はどうか。2026年7月時点のシラーPERは、集計元によって多少ばらつきますが、おおむね約41でした。長期平均の32を大きく上回り、過去にこの水準を超えたのは、2000年前後のドットコムバブルのピーク(44前後)くらいという、歴史的にもかなり高い位置にいます。
| シラーPERの水準 | ざっくりした評価 |
|---|---|
| 〜20 | 歴史的には割安〜妥当 |
| 25〜30 | やや割高 |
| 30〜35 | 割高 |
| 35〜 | 歴史的にも極端な割高圏 |
数字だけ見れば、約41は「歴史的にも極端な割高圏」。これは事実として受け止める必要があります。最新値はmultpl のシラーPERページなどで確認できます。
チャート出典:TradingView(シラーPER 月次)。直近は41.94ポイントで、1年前からじわじわ切り上がっているのが分かります。過去の推移を自分で見てみたい人は、こちらのチャートから確認できます。
「割高=すぐ暴落」とは限らない
じゃあ41だから今すぐ売るべきか。ここはバフェット指数の記事と同じ話になりますが、僕はそう単純には考えていません。
1つ目の理由は、割高でも、割高なまま何年も上がり続けることがあるから。シラーPERは「今が割高か」は教えてくれても、「いつ下がるか」は教えてくれません。割高を理由に現金に逃げても、そこから数年上がり続けたら機会損失になります。
2つ目は、「金利」との関係を無視できないから。金利が低いと、投資家は多少割高でも株を買います(他に置き場所がないので)。逆に金利が上がると、割高な株は敬遠されやすい。だからシラーPER単体ではなく、金利のカーブやVIXと合わせて見ないと、割高度の意味を読み違えます。
3つ目は、シラーPERは「将来リターンの目安」であって「売買タイミング」ではないから。過去のデータでは、シラーPERが高い局面から投資を始めると、その後10年程度のリターンは低めになりやすい傾向があります。ただしこれは「これから10年の平均リターンが控えめかも」という長期の話であって、「来月下がる」ではない。時間軸をはき違えると、意味のない売買をしてしまいます。
積立投資家としての、僕の受け止め方
これらを踏まえた僕の使い方は、バフェット指数のときと基本は同じです。「積立を止める理由」ではなく「期待を上げすぎない理由」として使っています。
- 積立は止めない・減らさない:41という数字で新NISAのS&P500積立をやめたりはしません。最高値圏でも積立を止めない理由と同じで、タイミングを当てにいくより、続けられる金額で淡々と積み立てるほうが僕には合っています。
- 将来リターンの期待値は控えめに置く:割高圏から始める以上、過去のような高いリターンが当然に続くとは考えないようにしています。期待を下げておけば、伸び悩んでもガッカリして投げ売りせずに済みます。
- 一括の大勝負・レバレッジは避ける:割高だと分かっているので、まとまったお金を一気に、あるいはレバレッジで攻めることはしません。高い位置で大きく買うほど、調整時のダメージが大きいからです。
割高かどうかを「当てる」より、割高だと知ったうえで期待を膨らませすぎず、淡々と続けられる仕組みを持つ。それがこの指標の一番いい使い方だと思っています。市場心理の過熱そのものは恐怖と強欲指数で、割高度はシラーPERとバフェット指数で、と役割分担して見ると立体的に空気がつかめます。
まとめ|割高を知って、期待を膨らませすぎない
シラーPER(CAPE)は、過去10年ぶんのインフレ調整後の利益で割ることで、景気の波をならして市場全体の割高度を測る指標です。長期平均は32前後、2026年7月時点は約41と、ドットコム期に次ぐ歴史的な割高圏でした。
ただし、割高でも割高なまま上がり続けることはあり、金利しだいで意味も変わります。シラーPERが高いのは「これから10年の平均リターンが控えめかも」という長期の目安であって、「来月暴落」ではありません。
僕にとってこの指標は、積立を止める理由ではなく、将来リターンの期待を上げすぎないための「冷静さの物差し」です。積立は淡々と続けつつ、期待は控えめに置き、一括の大勝負とレバレッジは避ける。割高を正しく知って、浮かれも投げ売りもしない——これが僕の答えです。