プロは強気MAX・現金は過去最低3.6%|2026年7月BofA機関投資家調査
こんにちは、とっぽです。
毎月中ごろになると、投資界隈で「ファンドマネージャー調査」という言葉をよく見かけます。正式にはBofA(バンク・オブ・アメリカ)グローバル・ファンドマネージャー・サーベイといって、世界中のプロの運用担当者に「いま何を考え、どこに賭けているか」をアンケートした調査です。
2026年7月版が7月14日に公表されました。ざっくり言うと、「プロがかなり強気に振れきっていて、現金の持ち高が過去最低クラスまで減っている」という内容です。これ、7月に半導体株が急落した直後だけに、けっこう気になる数字でした。
この記事では、僕みたいな新NISAでコツコツ積立をしている会社員の目線で、今回の調査のどこを読めばいいのか、そして「プロが強気MAX」というのを僕がどう受け止めて、積立をどうするのかまで、正直に整理します。難しい専門用語はできるだけかみ砕きます。
そもそもBofAファンドマネージャー調査とは
まず、この調査が何なのかを軽く押さえておきます。
BofAが毎月、世界の機関投資家(年金・ヘッジファンド・資産運用会社などのプロ)にアンケートを取ってまとめているレポートです。今回(2026年7月)は210人・運用資産の合計5,550億ドルのマネージャーが回答し、調査期間は7月2〜9日でした。
個人投資家がこの調査を見る価値は、「プロが今どっちに傾いているか」がまとめて分かるところにあります。とくに役立つのが、行きすぎたときに使う「逆張りの温度計」としての読み方です。
相場の格言に「強気一色のときが天井、弱気一色のときが底」という考え方があります。みんなが強気で、すでに買える人が買い終わっていると、次に買ってくれる人が残っていない。だから逆に下がりやすい、という理屈です。この調査は、その「みんながどっちを向いているか」を数字で見せてくれるわけです。
もちろん、これは占いではありません。強気だからといって必ず下がるわけではないので、あくまで「今どのくらい傾いているか」を測る道具として見ていきます。
2026年7月調査の要点
細かい数字がたくさんあるので、まず全体像を表にまとめます。ここは僕の感想ではなく、公表された数字です。
| 項目 | 2026年7月 | 前月(6月)から | ざっくり言うと |
|---|---|---|---|
| 現金比率 | 3.6% | 4.1%から低下 | 手元資金を減らして株に回した |
| 景気の見通し | 差引21%が「良くなる」 | 2月以来の強さ | 景気に自信が戻ってきた |
| 世界株の持ち高 | 差引42%が「多め」 | 38%から増加 | 株をより厚く持っている |
| 米国株の持ち高 | 差引24%が「多め」 | 2024年12月以来の高水準 | 米国株を積極的に買っている |
| 最も混み合った取引 | 半導体ロング(82%) | 3カ月連続・過去最高 | みんな半導体を買っている |
| 最大のテールリスク | AIバブル(45%) | 28%から急増・首位に | AI過熱への警戒が急上昇 |
「差引◯%」というのは、たとえば「多め」と答えた人から「少なめ」と答えた人を引いた割合のことです。数字がプラスで大きいほど、プロがそっちに傾いているという意味だと思ってください。
景気の見通しでは、54%が「ノーランディング(景気後退なしで成長が続く)」、39%が「ソフトランディング(軽い減速で済む)」、「ハードランディング(深刻な後退)」はわずか2%でした。つまり、プロの多くが「景気は崩れずに株が上がる」というシナリオに乗っています。
ここから、僕が特に気になった3つのポイントを掘り下げます。
ポイント1:現金比率3.6%で「売りシグナル」が点灯
今回いちばんの注目は、プロの現金比率が3.6%まで下がったことです。前月の4.1%から一段と低下し、2026年2月以来の低さになりました。
BofAには「FMSキャッシュルール」という有名な逆張りの目安があります。プロの現金比率が4.0%以下まで下がると「売りシグナル」、逆に高く積み上がると「買いシグナル」とみなす、というものです。今回の3.6%は、その売りシグナルがしっかり点いた状態です。
理屈はシンプルで、現金が減っているということは、プロが手元の弾(買う余力)をすでに株につぎ込んでしまっているということ。次に相場を押し上げてくれる新しい買いが出にくくなるので、上値が重くなりやすい、という考え方です。
センチメント(市場心理)を測る指標も軒並み過熱を示していて、BofAの強気弱気指標は9.4と、売りの目安である8.0を超えています。総合センチメント指標も6.0から7.2へ上がり、2月以来の高さです。要するに、いろんな角度から見て「プロは今かなり強気」なわけです。
ただし「シグナル=即暴落」ではない
ここで大事な注意点があります。売りシグナルが出たからといって、明日から暴落するわけではありません。
BofA自身の集計によると、現金比率が3.6%以下まで下がった過去16回のケースでは、その後2週間で世界株が平均およそ1%下がった、という程度です。「暴落する」ではなく「上値が重くなりやすい・少し調整しやすい」くらいの温度感なんですよね。
だから僕は、この売りシグナルを「今すぐ逃げろ」ではなく、「短期でここから一気に上がる、という前提で無理をするのはやめておこう」というブレーキとして受け取っています。積立をやめる理由にはしません。
ポイント2:半導体ロングが「過去最高の混み合い」
2つ目は、プロに「今いちばん混み合っている取引はどれ?」と聞いた質問です。ここでは「半導体(グローバル)のロング(買い)」が82%でダントツの1位。しかも3カ月連続の首位で、この数字は過去最高の水準です。
「混み合った取引」というのは、みんなが同じ方向に同じものを買っている状態のこと。BofAも「もう誰も売っていない(=空売りする人がいない)」とコメントするほどの一方通行です。
これが怖いのは、混み合った取引ほど、いざ売りが出たときに逃げ道が渋滞するからです。全員が同じ側に乗っていると、ちょっとした悪材料でみんなが一斉に出口へ殺到して、下げがきつくなりやすい。
まさにこれが、7月に半導体株が急落したときに起きたことでした。半導体指数が高値から2割下げて弱気相場入りした件は、AI・半導体株はなぜ急落したかをまとめた記事に書いたとおりです(僕のSOXLも含み損31%でワロタ状態です)。プロの資金がここまで半導体に集中していた、という裏付けが、今回の調査からも取れたことになります。
半導体そのものを長期でどう見るかは、半導体株は今からでも買えるかを整理した記事にまとめています。今回の調査は「需要が終わった」という話ではなく、「短期のポジションが一方に偏りすぎている」という話だと受け止めています。
ポイント3:最大のリスクは「AIバブル」に交代
3つ目は、「いちばん怖いリスクは何?」という質問(テールリスク)です。ここで順位が入れ替わりました。
| 順位 | テールリスク | 回答割合 |
|---|---|---|
| 1位 | AIバブル | 45%(前月28%から急増) |
| 2位 | インフレの再燃 | 26% |
| 3位 | 債券利回りの無秩序な上昇 | 14% |
「AIバブル」を最大リスクに挙げた人が45%と、前月の28%から一気に増え、これまで首位だった「インフレの再燃」を抜いて初めてトップに立ちました。
ここに、今の相場の面白い(そして少し不気味な)ねじれがあります。プロは「AIバブルがいちばん怖い」と言いながら、その一方で半導体を過去最高に買い込み、現金を過去最低まで減らしているんですよね。
「危ないと分かっているけど、上がっている波には乗り遅れたくない」。この矛盾こそ、過熱した相場の典型的な空気だと思います。怖いと思っている人が多いということは、逆に言えば、ちょっと悪材料が出たときに「やっぱりね」と一斉に売りが出やすい状態でもあります。
じゃあ、積立投資家の僕はどうするか
ここまでを踏まえて、今の僕の行動を書いておきます。結論から言うと、やることは基本的に変えません。
新NISAで積み立てているS&P500は、今回の調査を理由にやめませんし、金額も変えません。S&P500が最高値圏でも積立を止めない理由に書いたとおり、相場の先を当てにいくより、続けられる金額で淡々と積み立てるほうが、僕みたいな会社員には合っています。
ファンドマネージャー調査は「短期のプロの傾き」を測るものです。これから数十年かけて積み立てる僕のような投資家にとって、2週間で株が平均1%下がるかどうかは、正直そこまで大きな話ではありません。
そのうえで、この調査から僕が受け取った教訓は3つです。
- 強気MAXのときこそ、新しく無理をしない:プロの現金が過去最低で売りシグナルが出ている今、「乗り遅れたくない」と焦って一括で大きく買い増したり、レバレッジ商品に手を出したりはしません。淡々と積立を続けるだけにします。
- 集中している場所こそ、自分の偏りを確認する:半導体ロングが過去最高に混み合っているなら、自分のポートフォリオが知らないうちにAI・半導体に偏りすぎていないかを確認します。多くの投資信託・ETFは、実は上位に半導体が入っているので、意外と重複しがちです。
- 怖い=暴落の合図ではない:「AIバブルが最大リスク」と45%が答えても、それは「みんなが警戒している」というだけ。逆に売りが出尽くしにくい側面もあります。ニュースの見出しに一喜一憂せず、決算などの中身で判断していきます。
金利の面から相場を見る視点は、金利が上がる局面での資産運用を整理した記事にもまとめています。センチメントと金利は、割高なグロース株を見るうえでセットで効いてくるので、あわせて頭に置いておくと便利です。
まとめ|プロの温度計は「参考」であって「指示」ではない
2026年7月のBofAファンドマネージャー調査は、ひとことで言えば「プロが強気に振れきり、現金は過去最低の3.6%、半導体ロングは過去最高に混み合い、それでいて最大リスクはAIバブル」という、かなり過熱した内容でした。
現金比率は売りシグナルの水準ですが、過去のデータを見ても「その後2週間で平均1%下げる」程度で、暴落を予言するものではありません。これは占いではなく、あくまで「今どのくらい傾いているか」を測る温度計です。
積立投資家の僕にとって、この調査の使いどころは「強気MAXのときに無理をしないためのブレーキ」です。プロの傾きを参考にはしても、それに合わせて売買のタイミングを当てにいくことはしません。相場の空気がどうであれ、続けられる金額で淡々と積み立てる——地味ですが、これが会社員の投資として一番ブレない答えだと、今回もあらためて思いました。