半導体株は今からでも買える?PERと利益成長から考える
こんにちは、とっぽです。
米国株をやってると、どうしても目に入ってくるのが半導体株です。
NVIDIA、Broadcom、TSMC…このあたりの銘柄、正直もう高いと思っています。
でも、だからといって完全に避けるのも怖い。ぶっちゃけ、そこが一番悩ましいところです。
AI時代に一番お金が流れているのは、実はアプリよりもデータセンターの裏側だったりします。そこにはGPU、メモリ、ネットワーク機器、製造装置が関わっています。
この記事では、半導体株のPERと利益成長という切り口で、今から買う意味があるのかを自分なりに整理してみました。
結論:半導体株はまだ魅力がある。でも安くはない
先に結論を書きます。
半導体株は今からでも投資対象として魅力はあると思っています。
ただし、割安株ではありません。今の株価は、すでにかなりの期待を織り込んだ水準です。
なので、買うなら「安いから買う」ではなく、「高いけど、利益成長が追いつく可能性に少し乗る」という投資になります。
自分なら、これを資産の主力には据えません。あくまでサテライト(サブ的なポジション)として、ちょっと多めに持つイメージです。
そもそも半導体ってなんやねん?
半導体は、計算・記憶・通信・制御を担う電子部品です。スマホ、PC、車、AIサーバー、データセンターなど、あらゆる電子機器に使われています。
と言っても、いまいちピンとこないですよね。自分も最初はそうでした。
ここで押さえておきたいのは、「半導体株」といってもNVIDIAだけを指すわけではないということです。役割ごとに、代表的な企業を整理するとこんな感じになります。
| 分類 | 役割 | 代表企業 |
|---|---|---|
| GPU・CPU | 計算する | NVIDIA、AMD、Intel |
| メモリ | 記憶する | Micron、Samsung、SK hynix |
| ファウンドリ | 半導体を作る | TSMC |
| 製造装置 | 半導体を作る機械を売る | ASML、Applied Materials |
| ネットワーク・カスタムチップ | AIデータセンターを支える | Broadcom |
つまり半導体株を買うというのは、NVIDIAだけを買う話ではありません。AIを動かすためのインフラ全体に投資する、という意味に近いです。
なお、ファウンドリはTSMCが圧倒的な存在感を持っていますが、Samsungもファウンドリ事業を持っています。
あとBroadcomは半導体だけでなく、VMwareの買収などソフトウェア事業も大きな収益源にしている点は、ちょっと覚えておくと得なポイントです。
なぜ半導体株はここまで上がっているのか?
「AIブームだから」で終わらせると、正直あまり本質を捉えられません。半導体は、AIブームの裏側にあるインフラだと考えたほうがしっくりきます。
AIというと、ChatGPTのようなサービスをつい思い浮かべます。でも、実際にAIを動かすには、大量のGPU、高性能メモリ(HBMなど)、ネットワーク機器、そしてそれらを収容するデータセンターが必要です。
特にHBM(広帯域幅メモリ)は、GPUとメモリの間のデータ転送がボトルネックにならないようにするための部品で、AI向け半導体の中でもとくに需要が急増している分野です。地味な存在ですが、けっこう重要なやつです。
クラウド企業が巨額の設備投資を続け、AIサーバーやデータセンターを増強すればするほど、その裏では半導体への発注も増えていきます。
つまり、AIサービスが伸びるほど、裏側では半導体への投資が増える構造になっています。半導体株が強いのは、単なるテーマ株だからではなく、実際にお金が流れている場所だからだと思っています。
ただし、今の半導体株はすでに人気化している
ここで一度、冷静になっておきたいポイントがあります。
半導体株はすでにかなり買われていて、プロの機関投資家も当然のように注目しています。多くの資金が同じ方向を向いている、いわゆる混み合った取引になっているということです。
期待が高い状態だと、ちょっとした決算の躓きにも敏感に反応しやすくなります。良い決算を出しても、市場の期待を下回っただけで株価が売られる、というのはこういう銘柄でよく起きることです。
正直に言うと、自分も一度、決算発表の直前に「乗り遅れたくない」という気持ちだけでNVIDIA株を少し買い増ししたことがあります。
決算自体は悪くなかったのに、市場の期待には届かなかったという理由で翌日に株価が下がり、しばらく含み損を眺める羽目になりました。あのヒヤッとした感覚は今でも覚えています。地味に凹みました。
半導体のリスクは、弱いことではありません。強すぎて、みんなが買っていることです。
現在PERで見ると、正直かなり高い
ここから数字の話に入ります。その前に「何を判断したいか」をはっきりさせておきます。
見たいのは、今の株価が利益水準に対してどれくらい割高・割安かという物差し、つまりPER(株価収益率)です。
半導体株の中でも、押さえておきたい代表的な銘柄は次のあたりです。
| 銘柄 | 役割 | 現在PER(目安) | 見方 |
|---|---|---|---|
| NVIDIA | AI向けGPUの本命 | 40倍前後 | 成長期待が最も強く織り込まれている |
| Broadcom | カスタムAIチップ・ネットワーク機器 | 35倍前後 | AIインフラ需要を背景に評価が高め |
| TSMC | 先端半導体の受託製造(ファウンドリ) | 25倍前後 | 製造能力の希少性から底堅い評価 |
| Micron | HBM・DRAMなどのメモリ | 15〜20倍程度(変動大) | メモリ市況次第で評価が振れやすい |
| AMD | NVIDIA対抗のGPU・CPU | 30倍前後 | NVIDIAほどではないが成長期待は高め |
| ASML | 先端露光装置 | 30倍前後 | 半導体製造装置の独占的地位で評価が高い |
| SMH / SOXX | 半導体セクターETF | 30倍前後 | 個別の偏りをならしても割安感はない |
現在のPERだけを見ると、半導体株は正直かなり高いです。直近5年のアメリカ株式市場(S&P500)の平均PERは20倍前後と言われているので、それと比べても水準がかなり違います。
少なくとも「割安だから買う」という状態ではありません。ETF全体で見ても、セクター平均と比べて割安感があるわけではないです。ここを勘違いすると危ないと思っています。
半導体株を今から買うなら、安さではなく、これからの利益成長を買うことになります。今はバリュー投資ではなく、成長投資として見るべき局面です。
1年後PERで見ると、見え方が変わる
現在のPERは高い。でも、来期以降の予想利益がしっかり伸びるなら、その利益で割った「1年後PER」は今より低く見えることになります。
| 銘柄 | 現在PER | 1年後予想PER | 見方 |
|---|---|---|---|
| NVIDIA | 40倍前後 | 25倍前後 | AI需要の伸びが続けば説明可能な水準 |
| Broadcom | 35倍前後 | 25倍前後 | カスタムチップ需要の拡大が前提 |
| TSMC | 25倍前後 | 20倍前後 | 先端プロセスの需要が続けば妥当な範囲 |
| Micron | 15〜20倍程度 | 市況次第で大きく変わる | メモリ価格サイクルの影響を受けやすい |
つまり市場は、この先の利益成長をすでに織り込んでいるということです。
ここで注意したいのは、「予想PERが低いから安心」ではないという点です。予想PERが低く見えるのは、市場が将来の利益成長を期待して株価を先取りしているからにすぎません。
半導体株の勝負どころは、「今のPERが高いか低いか」ではなく、「期待されている利益成長が本当に出るか」という一点に尽きると思っています。
それでもまだ魅力があると思う理由
ここまで割高であることを強調してきました。それでも自分は半導体株に魅力を感じています。
理由は3つありますが、正直に言うと1つ目と2つ目は「まあそうだよね」くらいの話です。本命は3つ目です。
理由1:AIインフラ投資が続いている
AIサーバー、データセンター、GPU、HBM、ネットワーク機器。今、実際にお金が大きく流れているのはこのあたりのインフラ側です。
AIアプリが話題になる前に、まずインフラにお金が流れているというのが今の構図だと感じています。
理由2:半導体は一時的なブームではなく、インフラ化している
生成AI、自動運転、クラウド、データセンター、産業機器、さらには防衛や国家戦略まで、半導体が関わる領域はどんどん広がっています。
半導体はもはや単なる景気循環のテーマではなく、企業や国家の競争力そのものに近い存在になってきていると感じます。
理由3:EPS成長が続けば、今の高PERを吸収できる
株価がさらに上がるためには、必ずしもPERがもっと拡大する必要はありません。
EPS(1株あたり利益)が伸びれば、PERは株価が変わらなくても自然に下がっていきます。その状態でも市場がまだ成長性を評価するなら、株価にはまだ上昇余地が残っていることになります。
半導体株の魅力は、まさにここだと思っています。高いPERそのものが問題なのではなく、その高さを利益成長でどこまで正当化できるかが本質です。
ただし、リスクはかなり大きい
半導体株には、無視できないリスクがいくつもあります。
1. 期待値が高すぎるリスク
普通に良い決算を出しても、市場の期待以下と判断されれば普通に売られます。期待の高さそのものがリスクになっている状態です。
2. AI投資が減速するリスク
Amazon、Microsoft、Google、MetaといったAI投資を主導する企業が設備投資のペースを落とせば、半導体需要にとって逆風になります。
3. メモリ市況の反転リスク
Micronなどのメモリ株は特に注意が必要です。メモリは市況が良いときは一気に業績が伸びますが、悪化するときも業績が崩れやすいという特徴があります。
4. 設備投資サイクルのリスク
ASMLやApplied Materialsといった製造装置側の企業は、半導体メーカー各社の設備投資の増減に業績が大きく左右されます。
5. 地政学リスク
TSMCと台湾、そして中国・米国間の輸出規制など、地政学的な緊張も株価変動の要因になり得ます。
5つ並べましたが、正直に言うと自分が一番気にしているのは5番目の地政学リスクです。
決算やメモリ市況は数字を追っていればある程度心の準備ができますが、地政学リスクだけは自分でコントロールしようがなく、ある日突然ニュース一本で株価が動く怖さがあります。ここだけはガチで怖い。
半導体を買うならどう買うか
実際に半導体に投資するとして、選択肢はいくつかあります。自分に合ったやり方を選ぶのが大事だと思っています。
| 買い方 | 向いている人 | 特徴 |
|---|---|---|
| S&P500 | 無難に持ちたい人 | 半導体株も自然に組み込まれている |
| NASDAQ100 | もう少し成長寄りにしたい人 | NVIDIAや大型テックの比率が高め |
| SMH / SOXX | 半導体に集中したい人 | 個別株より分散が効く |
| 個別株 | 企業ごとに見極めたい人 | リターンもリスクも大きくなる |
| レバレッジ型ETF | 短期でトレードしたい人 | 長期投資の主力には向かない |
チャート出典:TradingView
個別株を選ぶ自信がない人は、こういうチャートで値動きの荒さを一度眺めてから決めるのがおすすめです。
レバレッジ型ETFについては、長期投資というより短期トレード用の道具だと思っています。ここは別記事でまた詳しく書くつもりです。
今後の戦略
ここまでは半導体そのものの話でした。ここからは自分の話です。
独身で大きくリスクを取れる状況なら、半導体個別株にもっと資産を寄せる選択もあると思います。
ただ、自分の場合は住宅費も教育費もこれからかかってきます。値動きの大きいものを資産の中心にするのは、正直まだ怖いです。
それでも、半導体を完全に避けるのも怖い。AIインフラという大きな流れに全く乗らないのも、それはそれでもったいない気がしています。
なので結論としては、主力はこれまで通りS&P500やNASDAQ100。そのうえで、半導体ETFや個別株をサテライトとして少し厚めに持つ、というのが今の自分の現実的な落としどころです。
買い方も一括ではなく分割が基本です。期待値はまだ高いと判断しているので、無理に高値を追いかけには行かず、決算やニュースで株価が大きく崩れたタイミングを拾っていく、というのが今のところの戦略です。
まとめ:半導体は高い。だから下がったところを拾いにいく
最後にもう一度整理します。
半導体は今からでも魅力があると思っています。ただし割安ではありません。現在のPERは高く、1年後のPERも利益成長が本当に実現するかどうかにかかっています。
最大のリスクは、業績が弱いことではなく、期待値が高すぎることです。
だから自分は、期待値がまだ高いところを無理に追いかけには行きません。決算やニュースで株価が崩れたタイミングを待って、そこを拾っていく。これが今の戦略です。
S&P500やNASDAQ100を主力にしつつ、半導体はサテライトで少し厚めに持つ。買うか買わないかではなく、どれくらい持つか、どのタイミングで拾うか。今の自分には、それくらいがちょうどいいバランスだと思っています。