AI・半導体株はなぜ急落?SOXL含み損31%で考えたこと
こんにちは、とっぽです。
2026年7月、AI・半導体株がまとめて急落しました。半導体株の代表的な指数であるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は、6月22日につけた最高値から約2割下げて、いわゆる弱気相場に入りました。
ちゃんと僕の資産も削られています。なかでも、以前スケベ買いして損切りできずに握っていたSOXLが含み損になっていて、もはやワロタ状態です。
この記事では、今回いったい何が起きたのか、なぜ半導体株がここまで下げたのか、これはAIバブルの崩壊なのか、そして僕のSOXLが今いくら負けているのかを、個人投資家の目線で正直に整理します。機関投資家みたいな高尚な分析ではなく、実際に資産を減らしている会社員の話として読んでもらえたらと思います。
2026年7月、AI・半導体株に何が起きたのか
まず、今回の下落を数字で押さえておきます。ここは僕の感想ではなく、報道で確認できた事実をベースにします。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は、2026年7月17日時点で、6月22日につけた最高値から約20%下落しました。高値から2割下げると「弱気相場(ベアマーケット)入り」と呼ばれます。半導体株はテクニカルには弱気相場に入ったことになります。
この指数は今年3月の安値から6月のピークまで約105%も上がっていました。上がった分の反動が、まとめて出た形です。
個別の主力銘柄も、そろって下げました。エヌビディアが数%安、AMDや半導体製造装置のアプライドマテリアルズはそれ以上に下落。メモリーのマイクロンにいたっては、高値から約3割下げたと報じられています。
3倍のレバレッジがかかったSOXLは、7月17日(金)に1日で約4.9%下げて、終値は135.47ドルでした。
ここで一つ大事なことがあります。「AIに関係する株が全部同じように暴落した」わけではない、ということです。
今回とくに大きく下げたのは、エヌビディアのような半導体そのものや、半導体製造装置、メモリー、AIインフラといった半導体関連株です。AIを使ってサービスを提供するソフトウェア企業まで、ぜんぶ一括りにして「AI株が崩壊した」と考えると、実態を見誤ります。この記事で「暴落した」と言っているのは、あくまでこの半導体関連株のことだと思ってください。
今回の下落を大きくした3つの要因
では、なぜこのタイミングで半導体株がここまで下げたのか。報道で確認できた範囲で、僕は大きく3つの要因が重なったと見ています。
1つ目は、低コストAIモデルの登場による競争激化です。中国のAIスタートアップMoonshotが7月17日に「Kimi K3」という新モデルを公開し、これが米国トップ企業のモデルに匹敵する性能だと伝わりました。
しかも誰でもダウンロードして動かせる「オープンウェイト」型でした。そのため「高価なAI用半導体を大量に積まなくても、高性能なAIが作れるのでは」という連想が広がり、市場では「また“DeepSeekショック”の再来か」と受け止められたようです。
2つ目は、AI設備投資の回収懸念です。安く高性能なモデルが出てくると、これまで各社が積み上げてきたAI向けの巨額な設備投資(CAPEX)が、本当に期待どおりの利益として返ってくるのか、という疑いが強まります。
大手テック企業が自社設計のAIチップを出し始めたことや、メタが7月1日に余剰のAI計算能力を外部に売る「Meta Compute」構想を発表したことも、「エヌビディア一強でAI用半導体が売れ続ける」という前提を揺らがせました。
3つ目は、上がりすぎた反動です。半導体株は3月から6月で約105%も上がっていたので、そもそも利益確定売りが出やすい状態でした。
株価がすでに数年先の成長まで織り込んで割高な水準になっていたこと、指数もファンドも一部のAI・半導体株に資金が集中していたことも、下げを増幅しました。集中している銘柄は、売りが出るとみんな同じところを一斉に売るので、下げがきつくなりやすいんですよね。
加えて、割高な株ほど金利にも敏感です。金利とグロース株の関係は、以前金利が上がる局面での資産運用を整理した記事にまとめたので、あわせて読んでもらえればと思います。
AI需要が伸びることと、株価が上がることは別
ここで、この記事で一番言いたいことを書いておきます。
今回の下落を見て「AIはもう終わりだ」と考えるのは、たぶん早すぎます。AIの技術や需要そのものは、これからも伸びていく可能性が高いと僕も思っています。
ただ、「AIの需要が今後も伸びること」と「今の株価からさらに上がること」は、まったく別の話なんですよね。
株価というのは、今の業績だけでなく、数年先の成長まで先に織り込んで動きます。だから、AIの需要が実際に伸びて業績が良くなっても、それが「すでに株価に織り込まれていた期待」を超えなければ、株価は下がることがあります。今回はまさに、期待で買われすぎていた分が少し巻き戻された、という側面が強いと感じています。
一方で、逆もまた言えます。たった数日から数週間の下落を見ただけで「AIバブルが完全に崩壊した」と断定するのも、これはこれで早すぎます。
半導体の需要が本当に腰折れしたのか、それとも上がりすぎた株価が調整しているだけなのか。これは株価そのものではなく、企業の業績や設備投資といった中身を見ないと判断できません。
「需要は本物かもしれないが、株価は行きすぎていたかもしれない」。このどっちつかずに見える状態を、曖昧にせず両方おさえておくのが大事だと思っています。
SOXLの含み損が31%になりました
ここで、恥ずかしい自分の話をします。
以前SOXLでスケベ買いして約4.2万円負けた話という記事を書きました。そのとき、損切りしきれずに残していた3回目の5株(1株197.26ドルで購入)を、性懲りもなく塩漬けのまま持ち続けていたんですよね。「まあ半導体はまた上がるし、そのうち戻るでしょ」と、完全にナメていました。
そこに今回の急落です。SOXLの7月17日(金)の終値は135.47ドル。僕の5株がどうなっているか、計算するとこうです。
買値:197.26ドル × 5株 = 986.30ドル 終値:135.47ドル × 5株 = 677.35ドル 1株あたり含み損:197.26 − 135.47 = 61.79ドル 5株合計の含み損:61.79ドル × 5株 = 約309ドル 含み損率:約31% (1ドル162円換算で約5万円のマイナス) ※SOXL終値は2026年7月17日、為替は同7月18日時点
数字にすると、この5株だけで約31%、金額にして約309ドル(円換算で約5万円)の含み損です。含み損率だけ見ると、もはやワロタとしか言いようがありません(笑)。
ただ、正直に言うと、金額そのものはたいして大きくありません。以前損切りした約4.2万円と合わせても、トータルで9万円ちょっと。これで生活が傾くわけでもないので、レバレッジETFの怖さを実際に食らって学べたと思えば、むしろ安い勉強代だったと捉えています。
もし同じ勘違いのまま、もっと大きな金額をSOXLに突っ込んでいたらと思うと、この程度で気づけたのはむしろラッキーでした。相場が悪いというより、単純に僕の持ち方が間違っていただけなので、誰も恨めません。長期の積立とレバレッジETFを、頭のどこかで混同していたんだと思います。
レバレッジETFが長期保有に向かない理由
先に、教科書的な話をしておきます。今回、身をもって思い知ったのが、レバレッジETFはそもそも長期保有に向かない、ということです。ここは大事なので、少していねいに説明します。
まず、SOXLは「半導体指数の3倍値動きするETF」とよく言われますが、正確には「1日ごとの騰落率の300%」を目指す商品です。3倍になるのはあくまで“その日1日”の値動きであって、数週間や数カ月の値動きが、そのまま指数の3倍になるわけではありません。ここがめちゃくちゃ大事なポイントです。
SOXLは毎日、「その日の値動きが指数の3倍になるように」倍率をリセットします(日次リセット)。この仕組みのせいで、上げ下げを繰り返す相場では、複利の効き方の関係で基準価額がジワジワ削られていきます。言葉だと分かりにくいので、簡単な例で説明します。
たとえば指数が1日目に10%下げて、2日目に10%上げたとします。指数は「100 → 90 → 99」で、2日間で約1%のマイナスです。
一方、3倍のSOXLは1日目に30%下げて2日目に30%上げるので、「100 → 70 → 91」となり、約9%ものマイナスになります。指数はほぼ元に戻っているのに、SOXLだけ大きく負けている。指数が以前の水準まで戻っても、SOXLが僕の買値まで戻るとは限らないというのは、こういうことです。
相場が上下に激しく振れるほど、この目減りは効いてきます。だから、SOXLのようなレバレッジETFは短期の勝負に使う道具であって、含み損を抱えたまま「戻るまで長期で握る」という使い方とは、そもそも相性が悪いんですよね。
ここまで偉そうに書いておいて何なんですが、それでも僕は今回、この5株をすぐには売らないことにしました。矛盾しているように見えると思うので、その理由を次の章で正直に書きます。
AIバブル崩壊かを判断する3つのシナリオ
「これはAIバブルの崩壊なのか、ただの調整なのか」。気になるところだと思います。正直、今の時点で断定はできません。
ただ、頭の整理として3つのシナリオに分け、それぞれ「何を確認すれば判別できるか」をセットで持っておくと、ニュースに振り回されにくくなります。
| シナリオ | どんな状況か | 何を確認すれば判別できるか | 半導体株への影響 |
|---|---|---|---|
| 健全な調整 | 上がりすぎた分の一時的な巻き戻し。AI需要は続く | 大手テックのAI向けCAPEXが維持され、半導体企業の売上・利益が伸び、業績予想が大きく下方修正されない | 大きめに下げても、業績が伴えば時間をかけて戻りやすい |
| 期待の先食い | 需要は本物だが、株価が数年先まで買われすぎていた | 業績は伸びるが成長率は鈍化。株価が数年分の成長を先に織り込み、長期間横ばいが続く | 業績が伸びても株価は上がりにくく、長めに軟調 |
| バブル崩壊 | AI投資が期待ほど利益に結びつかないと市場が判断する | AI向け設備投資の削減、半導体在庫の積み上がり、主要企業の連続した業績下方修正、AI収益化の停滞、需要鈍化が複数四半期続く | 大幅かつ長期の調整。割高・レバレッジ銘柄ほど痛手が大きい |
大事なのは、どれが当たるかを一発で当てにいくことではありません。今どのシナリオに近づいているかを、あとから確認できる状態にしておくことだと思っています。そのために僕が見ている材料を、次にまとめます。
AI・半導体株の調整局面で確認したい4つの材料
ニュースの見出しを全部追うのは、会社員には正直しんどいです。なので、僕は「何を見て、どうなったら注意か」まで決めて、4つに絞って確認しています。
- 半導体企業の決算とガイダンス:エヌビディアなど主力の売上・利益の伸びと、次の四半期の見通し(ガイダンス)を見ます。1回の下方修正なら「健全な調整」の範囲ですが、下方修正が複数四半期続き始めたら「バブル崩壊」寄りだと考えます。
- 大手テックのAI向けCAPEX:巨大テック企業がAIへの投資を維持しているか、絞り始めているか。維持なら健全、削減の動きが広がれば需要そのものへの黄信号です。
- 米国10年債利回り:長期金利が上がったり、利下げ期待が後退したりすると、割高なグロース株には向かい風です。金利がジワジワ上がっていないかを確認します。
- 半導体指数(SOX)と業績予想の動き:株価の下げが、業績予想の悪化を伴っているか。株価だけ下げているなら過熱の調整、業績見通しごと下がっているなら中身が悪化しているサインです。
「◯%下がったら必ず売る」みたいな、根拠のないルールを作るつもりはありません。そういうルールはたいてい続かないので、会社員でも週1回くらいで淡々と確認できるものだけを見るようにしています。
僕は積立を続け、SOXLは決算を見てから決める
ここまで整理したうえで、今の僕の行動ルールをはっきり書いておきます。
まず、新NISAで積み立てているS&P500は、今回の下落を理由にやめません。NASDAQ100の積立も、今回の急落だけを理由に止めるつもりはないです。
以前S&P500が最高値圏でも積立を止めない理由という記事に書いたとおり、相場の先を当てにいくより、続けられる金額で淡々と積み立てるほうが僕には合っています。むしろ下がった局面は、積立の買い付け単価を下げてくれるので、長期の積立にとっては悪い話ばかりではありません。半導体そのものを長期でどう見るかは半導体株は今からでも買えるかを整理した記事にまとめています。
問題のSOXLについては、まず3つ決めています。ナンピン(下がったところで買い増して平均取得単価を下げること)は、しません。レバレッジETFを新たに買い足すこともしません。そして、含み損を取り返すことを目的にした売買もしません。
この「ナンピンしない」「積立投資とレバレッジETFを混同しない」「含み損を取り返すための追加投資をしない」だけは、はっきりした結論です。
そのうえで、今持っている5株については、今すぐの損切りはしないことにしました。少し前まで「早めに損切りすべきか」と迷っていましたが、いったん腹を決めました。
これから主要企業の決算が出てきて、AI関連の売上やガイダンス、設備投資の実態がはっきりしてきます。その決算の中身を見るまでは、この5株は持ち続ける。そして、決算で実態が出てもなお株価が下げ続けるようなら、そのときは素直に売る。これが今の方針です。
今回の下げが「上がりすぎの調整」なのか「中身の悪化」なのか、株価だけでは分かりません。だから、判断材料が出るまでは待つ、という考えです。
正直に言うと、この判断にサンクコスト(取り戻せない埋没費用)の心理がまったく混じっていないかというと、自信はありません。理屈では、レバレッジETFを含み損のまま持ち続けるのが良くないことは、さっき自分で説明したとおりです。
分かってはいるんですが、いざ約5万円の損失を確定させる段になると、「決算の数字くらいは見てからでもいいのでは」という気持ちが出てくるんですよね。
だから今回は、ズルズルと理由もなく持ち続けてしまわないように、「決算の実態を見て、それでもダメなら売る」という期限と条件だけは、自分に課しておきます。それでも、傷口を広げるナンピンと、取り返そうとする追加投資だけは、何があっても絶対にしません。
まとめ|暴落よりも持ち方を見直す
2026年7月のAI・半導体株の急落は、低コストAIモデルの登場による競争激化、AI設備投資の回収懸念、そして105%上昇の反動という3つの要因が重なった結果だと僕は見ています。
半導体指数は高値から2割下げて弱気相場入りしましたが、これが健全な調整なのか、本格的なバブル崩壊なのかは、今の時点では断定できません。だからこそ、決算・設備投資・金利・業績予想という中身を見ながら判断していきたいです。
そして忘れてはいけないのが、「AIの需要が伸びること」と「今の株価から上がること」は別だということ。技術が本物でも、株価が期待を先に織り込みすぎていれば、業績が伸びても下がることはあります。逆に、数日の下落だけでバブル崩壊と決めつけるのも早すぎます。
個人的な反省としては、そもそも軽い気持ちでレバレッジETFに手を出したのが間違いでした。SOXLの含み損は約31%、笑うしかない状態ですが、金額としては数万円。これは相場のせいではなく、単純に僕の入り方が甘かっただけです。レバレッジETFの怖さを身をもって知れた勉強代だと思えば、そこまで高くはなかったと捉えています。
今ある5株は、決算の実態を見てから出口を決める。それまでは、ナンピンも取り返しの追加投資もしない。暴落のニュースを見て慌てて全部売るより、自分の中でルールと期限を決めて、その範囲で淡々と対応する。地味ですが、会社員の投資としてはこれが一番大事だと、あらためて思っています。